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オオカミ少女は愛の夢を見る

第3章 知られていくこと


——覚えておこう。
——俺の、得意分野を。

「……」
喉の奥が、妙に詰まる。

「……くだらねぇ」

そう言いながら、
ノートから視線を逸らした。

でも、耳まで少しだけ熱い。

「別に、いちいち覚えなくていい」

「……そう?」

白井は本気で首を傾げる。

「聞くなら、その都度聞け。」

ぶっきらぼうに言って、話を戻す。

「ここ、書き直せ」

ペン先が、ノートをなぞる。

距離が、近い。でも、意識しすぎない。

二人で並んで、
同じページを見る。

「……こう?」

「そうだ」
短いやり取りが、続く。

爆豪は気づいていた。

——白井は、
——俺を頼った。

それを、
当たり前みたいに。

それが、胸の奥を静かに揺らす。

「……終わったら、休め」

「……うん」

「無理すんな」

それだけ言って、ノートを返す。
部屋を出るとき。

「……勝己」

呼ばれて、足を止める。

「……ありがとう」

昼間より、少し柔らかい声。

「……礼言われるほどじゃねぇ」

そう返しながら、
心の中では違った。

——礼を言われることじゃねぇ。
——でも、悪くない。

ドアが閉まる。

爆豪は、椅子に深く座り直し、
天井を睨んだ。

「……チッ」

ノートの端に残っていた、あの文字が、
まだ頭から離れない。


“知られていくこと”だけじゃない。

“誰かの中に、
自分の居場所ができている”ことに
気づいてしまう章でもあった。

そして次は、
それぞれの実力と関係性が
はっきりと試される――
期末試験。

静かな夜の中で、
その予感だけが、確かにあった。
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