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オオカミ少女は愛の夢を見る

第2章 距離を、選ぶ


片付けの時間。

白井は教室の隅で、バッグを整えていた。

「……なあ」

隣に立つ気配。
爆豪だ。

「さっきの」

短く言って、言葉を切る。

「……悪くねぇ判断だ」

それだけ。

褒めてはいない。
評価しているだけ。

「……ありがとう」

自然に出た言葉。

爆豪は一瞬だけ視線を逸らし、
「礼言われるほどじゃねぇ」と呟いた。

でも。

教室を出るとき、
いつの間にか隣を歩いていた。

近すぎない。
離れすぎない。

輪の外でも、中心でもない位置。

白井は、ふと思う。

——誰かと一緒に踏み出すのは、
——こんなにも静かなことなんだ。

白井狼薇はまだ知らない。

この一歩が、
“クラスの一員になる”という意味以上に、
誰かの中で、
確かな存在になり始めた証だということを。

そして、
そっと背中を押したその人自身が、
その距離の変化を
一番意識してしまっていることを。
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