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オオカミ少女は愛の夢を見る

第1章 転入生 白井狼薇という少女



残された教室。

「いやいやいや!!」
上鳴が爆発する。
「名前呼び!? しかも普通に!!」

「これはもう……」
切島が肩を震わせる。
「距離ゼロじゃねぇか!」

轟焦凍は、静かに一言。

「……呼び方は、戻らないな」

隣の席で、
心操人使が小さく息を吐いた。

「……やっぱりな」

何が、とは言わない。

白井は、胸の鼓動を落ち着かせながら思う。

――呼んでしまった。
――戻れない呼び方を。

それなのに。

怖さより先に、
不思議な安心感があった。

白井狼薇はまだ知らない。

「勝己」と呼ぶたびに、
彼の中で
“気に食わない距離”が
“離せない距離”に変わっていくことを。

そして勝己自身も、
その名前を呼ばれるたびに、
なぜか逃げられなくなっていることを。

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