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オオカミ少女は愛の夢を見る

第1章 転入生 白井狼薇という少女


チャイム直前。

「おい」

低く、短い声。

振り向くと、
爆豪勝己が立っていた。

「……何?」

一瞬、敬語が出そうになって、
飲み込む。

爆豪の眉が、わずかに動いた。

「今のはいい」

小さく言ってから、教室に響くくらいの声で続けた。

「狼薇」

――。

空気が、一瞬止まる。

「え?」
「今……?」
「呼び捨て?」

ひそひそとした声が、あちこちから漏れる。

白井は、完全に固まった。

「……な、」

突然すぎて言葉が出ない。
爆豪は、何でもないことのように続ける。

「昨日言っただろ。他人行儀やめろって」

当然の顔。

「だから呼ぶ。問題あるか」

問題――
あるに決まっている。

心臓が、どくどくと音を立てる。

「……ば、」

爆豪を見る。
その視線を、正面から受け止められる。

「……爆豪、、。」

呼び捨て。

声は小さいが、確かに。

教室が、ざわついた。

「うわ、ガチじゃん」
上鳴電気が目を丸くする。
「いつの間にそんな距離詰めた!?」

「知らねぇよ!」
切島が笑う。
「でも、悪くねぇな!」

「……」

轟焦凍は、何も言わずに様子を見ている。

そして、隣の席。

心操人使が、ちらりと白井を見る。

何も言わない。でも、その目は――

「ああ、そういうことか」

と理解しているようだった。
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