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オオカミ少女は愛の夢を見る

第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで


爆豪は、一瞬だけ目を閉じてから、
白井の肩を掴んだ。

強くはない。

でも、
逃げられない。

「……短くな」

それが、
精一杯の譲歩。

白井は、
頷いた。

「……うん」

唇が、重なる。

ゆっくり。
でも、
昨日より近い。

一瞬で終わらせるつもりだった。

……のに。

白井が、
少しだけ、
追いかける。

「……っ」

爆豪が、先に離れた。

額を寄せて、
息を整える。

「……な?。……今のが、限界だ」

白井は、
少し驚いた顔で——
でも、
不安そうではなかった。

「……そっか」

「……我慢、させてる?」

「……してる」
爆豪は、
即答した。

「……でもな、」
低く、
確かな声。

「……嫌じゃねぇ。……それに
 ……今ぁ、踏み越えたら」

一拍。

「……お前が、分からないままになる」

その言葉に、
白井の胸が、
じんとする。

「……ありがとう。……ちゃんと、止まってくれて」

爆豪は、
鼻で笑った。

「……褒めんな。……調子狂う」

白井は、
そっと爆豪の服を掴んだ。

「……じゃあ」

「……今日は、
これで終わり?」

爆豪は、
白井を見下ろす。

真剣で、
優しい目。

「……ああ」

「……続きは」

一拍。

「……ちゃんと、話し合ってからだ。」

白井は、
その言葉を胸に刻む。

——日常みたいに甘くて。
——でも、
——一線はまだ向こう側。

それが、
今の二人。

部屋を出る前、
白井は振り返った。

「……勝己」

「……ん?」

「……好き」

爆豪は、
深く息を吐いてから言った。

「……わかってんだよ。
 ……だから、ここで止めてる」

その背中は、
どこか必死で。

白井は、
少しだけ微笑った。

——この人は、
——私より先に、
——覚悟してる。

そのことが、
たまらなく愛おしかった。
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