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オオカミ少女は愛の夢を見る

第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで


それは、本当に何でもない放課後だった。

特訓もない。
行事もない。
ただ、寮に戻って、課題をして、夕飯を食べるだけ。

——それなのに。

白井は、
胸の奥がずっと温かかった。

爆豪の部屋。

机に並べたノート。
二人で並んで座る椅子。

距離は、
もう“意識して詰めるもの”じゃない。

自然に、
そこにある。

「……ここ、
式変形できるだろ」

「……あ、本当だ」

白井が覗き込むと、
爆豪の肩に額が触れそうになる。

前なら、
慌てて離れていた。

でも今は。

「……近ぇ」

爆豪が言う。

「……嫌?」

白井が聞く。

「……嫌なら、言う」
即答。

「……じゃあ」

白井は、
そのまま距離を変えなかった。

——それだけで。

爆豪の喉が、
ごくりと鳴る。

「……お前」

「……最近、距離感おかしくなってねぇか」

「……恋人だから?」
悪気ゼロで言う。

爆豪が、
完全に言葉を失った。

「……っ」

「……その顔なぁに?」
白井は、
首を傾げる。

「……いや」

「……勝己、赤い」

「……黙れ」

でも、
否定はしない。
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