第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで
朝の光は、
思っていたよりも柔らかかった。
爆豪は、
目を覚まして最初に思った。
——ああ。
——まだ、ここだ。
腕の中。
微かな体温。
規則正しい寝息。
白井は、
いつの間にか眠ってしまっていた。
昨夜、
肩を寄せて。
何気ない会話をして。
何もしないまま、ただ一緒にいて。
そのまま。
——眠った。
爆豪は、
少しだけ早く起きていた。
腕を動かさないように、
慎重に息を整える。
白井の髪が、
胸元に触れている。
柔らかい。
くすぐったい。
——触れたら、起きる。
そう分かっているのに、
視線だけは、どうしても外せなかった。
寝顔。
無防備で、
安心しきった表情。
——これが。
——俺の、恋人。
胸の奥が、
じわっと熱くなる。
「……」
声を出す代わりに、
小さく息を吐く。
——昨日までと、
——何も変わってない。
——なのに。
——世界が、
——こんなにも違う。
白井が、
小さく身じろぎする。
爆豪は、
反射的に身体を固くした。
起きるかと思ったが——
白井は、そのまま爆豪の胸に顔を埋めて、
また静かに眠った。
「……」
思わず、
喉が鳴る。
——無防備すぎだろ。
——信用しすぎだ。
でも。
——嫌じゃない。
むしろ。
——嬉しい。
爆豪は、
そっと白井の背中に腕を回した。
引き寄せるほどじゃない。
でも、離れないように。