第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで
夜の寮。
共用スペースのテーブルで、
白井狼薇はノートを広げていた。
「……ここ、
この計算で合ってる?」
隣には爆豪勝己。
「……ああ」
短く答えながら、
ノートを覗き込む。
距離は、
ごく自然に近い。
肩が触れても、
もうお互い気にしない。
「……ありがとう」
白井は、
いつものように言った。
「……勝己、好きだよ。」
小さく、
でも迷いのない声。
——最近、
——これが当たり前になっている。
爆豪は、
一瞬だけ手を止めた。
「……」
「……また言ってる」
ぶっきらぼうな声。
「……だって、
思ったから」
白井は、
何でもないことのように言う。
「……勝己と一緒にいると、落ち着くの。
だから、……好き」
その瞬間。
「……っ」
爆豪が、
唐突に顔を近づけた。
「……俺も」
低く、
短く。
「……好きだ」
白井の目が、
大きく見開かれる。
「……え?」
「……何だよ」
視線を逸らしながら。
「……毎回言われて、
黙ってんのも癪だろ」
「……だから言っただけだ」
——不意打ち。
白井の胸が、
一気に熱くなる。
「……」
「……勝己」
「……」
「……今の、
もう一回言って」
「……言わねぇ」
即答。
「……調子乗んな」
でも。
耳は、
真っ赤だった。