第1章 転入生 白井狼薇という少女
実技エリアに、相澤の声が響く。
「今日は二人一組で行動する。
状況判断と連携を見る」
ざわ、と空気が揺れる。
白井は、無意識に一歩だけ後ろへ下がった。
――組む。
それだけで、少しだけ神経を使う。
「組み合わせは――」
相澤が、タブレットに視線を落とす。
「爆豪。白井」
一瞬、音が消えた気がした。
「……は?」
爆豪の声が、低く響く。
白井は、表情を変えない。
ただ、静かに頷いた。
「……了解しました」
その態度が、爆豪の癇に障る。
「お前、なんでそんな平然としてんだよ」
「実技ですから」
淡々と返す。余計な感情を挟まない。
「チッ……」
爆豪は舌打ちしながらも、前に出た。
相澤が続ける。
「今回の想定は、市街地制圧。敵役は複数。役割分担は自分たちで考えろ」
それだけ言って、目を細める。
「……お前ら、相性最悪だろ。だからだ」
言い切り。
爆豪が睨み、
白井は一瞬だけ、目を伏せた。
――相性が悪い。
否定できない。