第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで
朝。
白井は、
目を覚ました瞬間に、昨日のことを思い出した。
——爆豪の部屋。
——近づいた距離。
——いつもより、深かったキス。
「……」
布団の中で、
思わず顔を覆う。
——キス、しただけなのに。
——なのに、
——胸の奥が、まだ熱い。
心臓が、
少し早い。
「……」
ゆっくりと起き上がり、
深呼吸。
——大丈夫。
——何も、怖いことは起きてない。
でも。
——“次”って、
——何なんだろう。
午前の授業。
ノートを取りながらも、
意識は前の席に向いていた。
爆豪勝己。
いつも通りの背中。
いつも通りの姿勢。
……なのに。
——昨日、
——この人とキスをした。
その事実だけで、
胸がきゅっとする。
「……」
視線に気づいたのか、
爆豪が一瞬だけ振り返る。
目が合う。
そして、
すぐに逸らされる。
——同じだ。
——勝己も、
——意識してる。
それが分かって、
少し安心する。