第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで
爆豪side
……正直に言う。
俺は、
触れる側でいる方が、
ずっと楽だった。
距離を決めるのも。
止まるのも。
守るって決めるのも。
全部、
自分の判断でできるからだ。
「……勝己」
部屋の中。
静かな夜。
名前を呼ばれて、
顔を上げる。
白井が、
俺を見ている。
いつもより、
少しだけ真剣な目で。
「……触れてもいい?」
——来た。
胸の奥が、
ぎゅっと掴まれる。
「……ああ」
声が低くなるのを、
自分でも自覚してる。
「……嫌なわけ、
ねぇだろ」
そう言うのが、
精一杯だった。
最初に触れられたのは、
手だった。
指先が、
俺の手の甲に、そっと乗る。
……弱い。
力も、
勢いもない。
なのに。
「……っ」
息が、
一瞬止まった。
——なんだ、これ。
——触れられるって、
——こんな感じかよ。
白井の指が、
少しだけ動く。
迷いながら。
確かめるみたいに。