• テキストサイズ

オオカミ少女は愛の夢を見る

第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで


白井の胸が、
強く鳴った。

——選ばせてくれてる。

ゆっくりと、
手を伸ばす。

指先が、
爆豪の手の甲に触れた。

一瞬、
迷って。

そのまま、
指を絡める。

「……」

爆豪の手が、
ぴくりと震えた。

でも、
握り返してこない。

——まだ。

——私が、
どうしたいか。

確かめてる。

白井は、
そのまま手を引いて、
少しだけ距離を詰めた。

「……」

額が、
触れそうになる距離。

「……勝己」

声が、
小さい。

「……私」

一瞬、
言葉を探して。

「……触れられるだけじゃ、
足りなくなった」

正直な気持ち。

爆豪の喉が、
ごくりと鳴る。

「……狼薇」

低く、
でも優しい声。

「……それ以上、
言うな」

「……俺ぁ、もう限界だわ。」

でも。

止めない。

白井は、
もう一歩近づいた。

そして。

爆豪の胸元に、
そっと手を置いた。

——自分から。

爆豪の体温が、
はっきり伝わる。

「……」

「……今度は」

白井は、
目を閉じずに言った。

「……私が、
近づきたかった」

沈黙。

次の瞬間。

爆豪の手が、
白井の腰に回る。

強くない。
でも、確実。

「……それ以上は、
今日はやめとけ」

声が、
ひどく低い。

「……次」

一拍。

「……覚悟しとけ」

その言葉に、
白井は小さく笑った。

「……うん」

胸が、
不思議と落ち着いている。

——触れる側になった。

——でも、
——守られている。

その両方を、
同時に感じられたから。

二人は、
そのまましばらく動かなかった。

手は、
離さない。

唇は、
触れない。

でも。

距離は、
もう前よりずっと近い。

恋は、
一方通行じゃない。

そう実感した夜だった。
/ 231ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp