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オオカミ少女は愛の夢を見る

第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで


でも、
取り上げない。

——それって。

——間接キスとか、
——気にしてないってこと?

顔が、
じわっと熱くなる。

「……顔赤いぞ」

「……!」

「……気にすんな」

爆豪は、
小さく鼻で笑った。

「……俺は、
気にしてねぇから」

——強い。

——そして、
——ずるい。

放課後。

教室に人が少なくなった頃。

白井が、
机に忘れ物を取りに戻ると——

「……遅ぇ」

教卓の前に、
爆豪がいた。

「……待ってたの?」

「……ああ」

迷いもなく。

「……一緒に帰るって、言っただろ」

白井は、
胸がじんわり温かくなる。

「……勝己」

呼ぶと、
すぐに視線が来る。

「……なに」

「……距離、
近づいてるよね」

確認するような言い方。

爆豪は、
少しだけ考えてから言った。

「……そうか?」

「……」

「……なら、もっと近づけ」

一歩、
距離を詰める。

白井の背中が、
机に軽く触れる。

逃げ場はない。

でも、
怖くない。

「……嫌か」

低い声。

「……嫌じゃない」

正直な答え。

爆豪は、
それを聞いて、額に優しくキスをして
満足そうに息を吐いた。

「……なら、いい」

それ以上は、
何もしない。

白井は自分の額に手を当てて立ち止まる。

——近いのに、
——大切にされている。

白井は、
その距離の中で気づく。

——勝己は、
——キスしたからこそ、
——距離を詰めるのを、
——やめなくなった。

でも。

——踏み越えない。

——それが、
——彼なりの“甘さ”。

「……勝己」

「……ん?」

「……ありがとう」

理由は言わない。

でも、
爆豪は分かっている。

「……言われなくても、やる」

ぶっきらぼうで、
でも確かな言葉。

その瞬間。

白井は、
胸の奥で思った。

——次は。

——私の番かもしれない。

触れられる側から、
触れる側へ。

その予感を、
静かに抱きながら。

恋は、
さらに甘く、
深くなっていった。
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