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オオカミ少女は愛の夢を見る

第8章 ぬくもりに、名前をつけるまで


朝の寮。

白井は、
自室のドアの前で深呼吸をしていた。

——昨日。

——爆豪の部屋。

——唇が、触れた。

「……」

思い出しただけで、
頬がじわっと熱くなる。

——あれは、夢じゃない。

——でも、
——どういう顔で会えばいいのか、分からない。

覚悟を決めて、
廊下に出る。

ちょうど曲がり角で、
人影とぶつかりそうになった。

「……っ」

「……おい」
低い声。

爆豪勝己。

一瞬で、
視線が合う。

そして、
同時に逸れた。

「……」

「……」

沈黙。

気まずい。

でも、
嫌じゃない。

「……おはよ」

先に言ったのは、白井だった。

「……お、おは、、よ」

爆豪の返事が、
わずかに噛んだ。

——噛んだ。

白井の胸が、
きゅっとなる。

「……」

「……」

二人とも、
次に何を言えばいいか分からない。

「……朝メシ」

爆豪が、
視線を逸らしたまま言う。

「……一緒に、行くか」

「……うん」

即答してから、
自分で驚く。

——前は、
——こんな風に答えられなかった。

食堂までの道。

歩幅を、
無意識に揃える。

肩が、
ぎりぎり触れない距離。

——触れないのに、
——近い。

「……」

白井が、
ちらりと横を見る。

爆豪の耳が、
ほんのり赤い。
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