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オオカミ少女は愛の夢を見る

第7章 告げる、覚悟


夜。爆豪の部屋。

机の上には広げられた課題。
解きかけのノート。
でも、二人とももう文字を追っていなかった。

「……ここ、もう終わりだな」
爆豪が言う。

「……うん」
白井は頷いたけれど、視線はノートじゃなく、
爆豪の横顔に向いていた。

——分かってる。
——今、同じことを考えてる。

静かすぎる部屋。時計の秒針の音。

「……狼薇」
低く、呼ばれる。

「……なに?」
声が、少しだけ震える。

爆豪は、椅子から立ち上がらずに言った。

「……昨日のこと、。……考えた」

白井の胸が、小さく跳ねる。

「……俺は、……止まれる」
 ……でも」
視線を上げる。

「……お前が、ちゃんと“いい”って言うなら……今度は、止まれる自信がねぇ」

空気が、ぴんと張る。

白井は、そっと立ち上がった。
距離は、ほんの一歩分。

「……勝己」
名前を呼ぶ。

「……昨日、……私も我慢させてるって分かったの……でも、、」
一歩、近づく。

「……今日は」
爆豪の目を、まっすぐ見る。

「……私も、ちゃんと選びたい」

その一言に爆豪は、ゆっくり立ち上がった。

身長差。息が、近い。

「……狼薇、……最後に聞く」
低く、真剣な声。

「……嫌なら、言え」

白井は、首を振った。

「……嫌じゃない。……怖くもない。……勝己となら、大丈夫」

その答えで、爆豪の手が、
そっと白井の頬に触れる。

初めて。

指先が、震えている。

「……」
白井は、目を閉じた。

——触れたいと思った。
——触れられると、
——こんなに安心する。

爆豪は、ほんの少しだけ顔を近づけて——
そっと、唇が触れた。

深くもない。長くもない。

ただ、確かめるような、
優しいキス。

離れた後、
二人とも動けなかった。

「……」

爆豪が、先に息を吐く。

「……初めてだわ、……俺も」

白井は、小さく微笑った。

「……私も」
目が合う。

「……」
爆豪は、自分の額を白井の額に軽く当てる。

「……大事にする。……何回でも言う」

白井は、そっと頷いた。

「……私も。……大事にする。したい。」

二人は、もう一度だけ、
軽く額を寄せ合った。

それ以上は、しない。

でも、
——もう、戻れない。

それでいて、ちゃんと守られている。
それが、二人の“初めて”だった。
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