第7章 告げる、覚悟
夜の寮。
時計の針が、静かに二十二時を指していた。
白井狼は、
ノートを広げたまま、ペンを止める。
「……ここ、
どう解くんだっけ」
声に出した瞬間、
自分でも少し緊張しているのが分かった。
「……それ、
式ひとつ抜けてる」
隣から聞こえる低い声。
彼の部屋。
二人きり。
それだけで、
空気が少し違った。
「……あ、
ほんとだ」
身を乗り出して、
ノートを覗き込む。
距離が、
近い。
——昨日から、
——ずっと分かってた。
近づくと、
胸が熱くなる。
「……」
爆豪の指が、
ノートの上をなぞる。
白井の視線は、
その手に吸い寄せられた。
——大きい。
——あたたかい。
「……狼薇、お前、、。」
「……なに?」
「……集中しろ」
低い声と短いデコピン。
でも。
視線が、
外れない。
「……してる」
手でおでこを抑えながら、そう言って
顔を上げた瞬間。
目が、合った。
一瞬。
ほんの、
一瞬だったはずなのに。
時間が、
止まったみたいに感じた。
呼吸が、
重なる。
「……」
爆豪の喉が、
小さく鳴る。
白井は、
自分でも驚くほど自然に、
一歩近づいていた。
——触れたい。
——今度は、
——もっと。
視線が、
唇に落ちる。