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オオカミ少女は愛の夢を見る

第7章 告げる、覚悟


夜の空気は、冷たい。
でも、不思議と寒くない。

「……今日は」

爆豪が、先に口を開く。

「……疲れてないか」

「……うん」
白井は頷く。

「……でも」

少し迷ってから。
「……今日は、いっぱい考えたの。」

「……何をだ」

「……恋人って、何だろうって」

爆豪の指が、ぴくりと動く。

「……それで?」

「……私」
視線を落としながら続ける。

「……勝己の隣にいるの、
当たり前になってきて、…それが、嬉しかった」

沈黙。

爆豪は、
一度だけ目を閉じた。

——危ない。

——このまま聞いたら、
——踏み越える。

「……狼薇」

声が、
いつもより低い。

「……それ以上、
近づくな」

「……え?」
困惑する白井。

「……いや」

爆豪は、
自分の髪を乱暴に掻いた。

「……近づいてほしくない、
わけじゃねぇ」

「……むしろ、
逆だ」

白井の胸が、きゅっと鳴る。

「……なら」

一歩、近づく。

爆豪の体が、
わずかに強張る。

「……待て」

手を、そっと掴まれる。

強くない。でも、逃がさない。

「……今、触れたら……俺ぁ、
戻れなくなる」

その言葉に、
白井は息を呑んだ。

「……」

「……嫌じゃ、
ないけど」

視線を合わせる。

「……今は、
大事にしたい」

——自制。
——守るという選択。

白井は、
その手を振りほどかない。

代わりに、
小さく頷いた。

「……ありがとう」

「……勝己が、
そう思ってくれるなら」

「……私、
安心する」

その一言が、
爆豪の胸を強く打つ。

「……ほんと」

低く、
呟く。

「……お前、
俺を殺す気か」

でも、
声は笑っていた。

「……今日は」

白井が、
そっと言う。

「……ここまででいい」

「……恋人でいるって、
ちゃんと感じられたから」

爆豪は、
深く息を吐いた。

「……ああ」

「……それでいい」

二人は、
少しだけ距離を空けて並ぶ。

でも。

心の距離は、
もう離れなかった。

——恋人であるという自覚。
——限界を知りながら守る選択。

その両方が、
静かな夜に、確かに刻まれていた。
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