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オオカミ少女は愛の夢を見る

第7章 告げる、覚悟


夜。
消灯時間を少し過ぎた寮の廊下は、
ひどく静かだった。

白井は、自室のベッドに腰掛けたまま、
スマホの画面を見つめている。

特に用はない。
誰かに連絡を取るわけでもない。

ただ——

画面に映り込む、自分の顔が、
どこか落ち着かないだけだった。

「……」

胸に手を当てる。

今日一日、
何度も思い出してしまった。

隣を歩いたこと。
名前を呼ばれたこと。
自然に、爆豪のそばにいたこと。

——恋人。

その言葉が、
ようやく現実味を帯びてくる。

「……私、
恋人なんだ」

声に出すと、
胸がじんわり熱くなった。

怖さは、まだ少しある。
でも。

——逃げたいとは、
——もう思わない。

「……勝己の、
恋人」

その名前と一緒に考えると、
なぜか背筋が伸びる。

——大切にされている。
——でも、それ以上に。

——自分も、
——大切にしたい。

その気持ちが、
はっきり形を持ち始めていた。

コン、と。

ドアが、
小さくノックされる。

「……狼薇」
低い声。

「……起きてるか」

「……うん」

ドアを開けると、
廊下の灯りに照らされた爆豪が立っていた。

「……少しだけ」

それだけ言って、
視線を逸らす。

「……うん」

二人は、
寮の中庭へ向かった。
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