第7章 告げる、覚悟
「……おはよ」
朝の寮の廊下。
白井は、少し緊張しながら声をかけた。
「……おう」
返事はいつも通り。
なのに。
視線が合った瞬間、
二人同時に目を逸らした。
——まだ、慣れてない。
付き合い始めた。
ただ、それだけなのに。
「……」
沈黙が、気まずい。
「……あの」
白井が口を開く。
「……勝己」
名前を呼ぶと、
爆豪の肩がわずかに跳ねた。
「……なんだよ」
「……その」
少し迷ってから。
「……彼氏、なんだよね?」
一瞬。
爆豪の思考が止まった。
「……は?」
「……だって」
白井は真剣だ。
「昨日、付き合うって……」
「……言った」
「……だから、
勝己は……私の……」
言い切れずに、
声が小さくなる。
「……彼氏?」
爆豪の顔が、
一気に赤くなる。
「……お前」
「朝っぱらから、爆弾投げんな」
「……だめだった?」
本気で不安そうな顔。
「……だめじゃねぇ」
歯を食いしばる。
「……その言葉、もうちょい大事に使え」
「……?」
「……心の準備ってもんがあるだろ……」
白井は、
小さく「ごめん」と言いながらも、
どこか安心したように微笑った。
——嫌じゃ、ないんだ。
放課後。
寮の共用スペース。
ソファに並んで座り、
同じ課題を見ている。
「……ここ、
こうじゃない?」
白井が、
自然に身を寄せる。
肩が触れる。
腕が触れる。
「……っ」
爆豪の背中が、
ぴんと張る。
「……勝己?」
「……動くな」
低く、必死な声。
「……?」
「……いや、
動いていい」
「……どっち?」
「……クソ……」
額に手を当てる。
——無理だ。
——無自覚は一番タチ悪い。