第7章 告げる、覚悟
放課後。
寮の共用スペース。
ソファで並んで座り、
課題を広げる二人。
「……ここ、
どう思う?」
白井が、
自然に身を寄せてくる。
肩が、触れる。
「……っ」
爆豪のペン先が止まる。
「……勝己?」
「……喋るな」
「……?」
「……いや、喋れ」
どっちだ。
白井は、
素直に続きを聞こうとして、
さらに距離を詰める。
顔が、近い。
「……」
爆豪の思考が、
完全に停止する。
——近い。
——近すぎる。
——お前、分かってやってんのか!?
「……なあ」
声が、少し掠れる。
「……なに?」
「……俺の理性、
試してんのか?」
「……?」
本気で分かっていない顔。
爆豪は、
頭を抱えた。
「……お前な」
深呼吸。
「恋人ってのは、
そういう距離も含む存在だ」
「……うん」
「でも」
真剣な声。
「お前は、
無自覚にやりすぎだ」
白井は、
少し考えてから言った。
「……好きな人の近くにいるの、
自然じゃない?」
その一言。
「……っ」
爆豪が、
完全に言葉を失う。
「……」
顔が、赤い。
「……それを、
そんな顔で言うな」
「……?」
「……クソ……」
視線を逸らしながら、
小さく呟く。
「……もっと好きになるだろ……」
白井は、
その言葉を聞いて、
胸が温かくなるのを感じた。
——これが、恋。
——好きだから、近づきたい。
——近づくと、相手が動揺する。
それすら、
少し嬉しい。
「……勝己」
「……なんだ」
「……好き」
不意打ち。
「……っ!!」
爆豪が、
完全に固まる。
「……今、それ言うのかよっ!?」
「……だめだった?」
「……だめじゃねぇ!!」
声が裏返る。
「……覚悟しとけ」
「……?」
「……そのうち、
ちゃんと抱きしめるからな」
白井は、
少しだけ頬を赤くして、
小さく頷いた。
「……うん」
その反応に、
爆豪はもう逃げ場がなかった。
——恋人になっても、
——振り回される。
でも。
——それ以上に。
——可愛くて、
——愛おしくて。
「……ほんと、
たまんねぇな」
そう呟いた声は、
確かに幸せそうだった。