第7章 告げる、覚悟
寮の玄関扉が開いた瞬間だった。
「……白井!」
「無事だった!?」
一斉に駆け寄ってくる足音。
白井は、思わず立ち止まった。
「もう退院して大丈夫なん!?」
麗日が覗き込む。
「本当に軽傷なんだよね?」
芦戸の声は少し震えている。
「念のためとは聞きましたが……」
八百万百も、ほっと息をつく。
「心配かけんなよ!」
切島が、強く言いながらも表情は安堵していた。
白井の胸が、ぎゅっと締まる。
「……うん。もう平気」
「心配してくれて、ありがとう」
それだけで、十分だった。
その輪の少し後ろ。
腕を組んだまま、黙って立っている影がある。
爆豪勝己。
視線が合う。
言葉はない。
ただ、その目が——
**「後で来い」**と告げていた。
しばらくして。
みんながそれぞれの部屋へ戻り始めた頃。
「……狼薇」
低い声。
振り向くと、爆豪が立っていた。
「……勝己?」
「中庭」
短い一言。
理由は言わない。
でも、分かってしまう。
「……うん」
二人は並んで歩く。
夜の風が、少し冷たい。
寮の中庭には、誰もいない。
街灯の下、二人だけ。
「……怪我」
爆豪が先に口を開く。
「本当に、大丈夫なんだな」
「……うん」
白井は頷く。
「もう、平気」
その答えを聞いて、
爆豪は一度、深く息を吐いた。
「……」
拳を握る。
そして、顔を上げた。
「……狼薇」
呼び方が、
いつもより低く、真剣だった。
「俺は」
一拍。
「お前が怪我したって聞いた時、
俺ぁ、頭、真っ白になった
告白がどうとか、
タイミングとか
全部、どうでもよくなった」
白井は、黙って聞いている。
「……失うかもって思った。
それが、
一番、怖かった」
視線を逸らさない。
「俺は」
言い切る。
「お前が好きだ」
飾らない。
逃げない。
「守りたいとか、独占したいとか
そういうの全部ひっくるめて、、、
……白井狼薇、お前が好きだ」
夜の中庭に、
その言葉がはっきりと落ちる。