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オオカミ少女は愛の夢を見る

第7章 告げる、覚悟


しばらくして。

看護師の見回りが終わり、
病室は完全に静かになった。

時計の秒針の音だけが、
ゆっくりと時間を刻む。

「……勝己」

白井が、
小さな声で呼ぶ。

「なんだ」

「……今日は」

言葉を選ぶ。

「来てくれて、
ありがとう」

爆豪は、
一瞬だけ目を伏せた。

「……当たり前だ」

「……それでも」

白井は、
視線を外さず続ける。

「……来てくれたのが、勝己でよかった」

その一言に、
爆豪の指が、
わずかに動く。

「……」

何か言おうとして、
やめる。

代わりに。

「……今日は、休め。明日、迎えに来る」

——告白は、
まだ。

でも。

——明日、
ちゃんと話す。

その約束が、
空気に滲んでいた。

「……うん」

白井は、
安心したように目を閉じる。

「……おやすみ、
勝己」

「……おう」

扉の前で、
一度だけ足を止める。

振り返りたい衝動を、
理性で抑える。

——今は、
——まだだ。

爆豪は、
静かに病室を出た。

一人になった病室で、
白井は、胸に手を当てる。

——明日。

——きっと、
——何かが変わる。

怖さは、
もう少しだけ残っている。

でも。

——それ以上に、
——受け取りたい気持ちがある。

夜は、
ゆっくりと更けていく。

二人とも、
同じ“明日”を思いながら。

言葉にする前の静けさは、
こんなにも、
あたたかかった。
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