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オオカミ少女は愛の夢を見る

第7章 告げる、覚悟


夜の寮。
共用スペースには、もう人影は少なかった。

白井は、ソファに座りながら、
何度も同じページをめくっている。

——集中、できてない。

「……」

理由は、分かっていた。

視線を上げると、
少し離れたところに爆豪がいる。

スマホを見ているようで、
でも意識は、こちらにある。

——この人に触れた時だけ、
——嫌じゃない。

——それどころか。

「……勝己」

呼びかけると、すぐに顔が上がる。

「なんだ」

「……変なこと、言ってもいい?」

一瞬、
爆豪の眉が動く。

「内容による」
正直な返答。

白井は、
小さく息を吸ってから言った。

「……手に、
触れていい?」

沈黙。

でも、
拒絶はない。

「……ああ」
短い返事。

白井は、ゆっくりと手を伸ばす。

指先が、
爆豪の手の甲に触れる。

一瞬で分かる。

——熱い。

でも、
怖くない。

爆豪は、
微動だにしない。

理性で、
動きを止めているのが分かる。

「……どうだ」

「……大丈夫。」

白井は、少しだけ指を動かす。

「……じゃあ」

小さな声。

「手、繋いでもいい?」

爆豪の喉が、ごくりと鳴る。

「……お前、、。分かっててやってんだろーなそれ。」

「……うん」

正直だった。

「確かめたい」

何を、とは言わない。

でも、
爆豪には十分だった。

「……来い」

差し出される手。

白井は、その手を取る。

指と指が絡む。

——文化祭の時とは、
——比べものにならないほど、
——はっきりした感覚。

心臓が、
うるさい。

「……嫌じゃ、ない。不思議、、。」

思わず、
零れる。

「……それ」

爆豪が、
低く言う。

「俺もだ」

静かな声。

でも、
強い。

しばらく、
二人はそのまま動かない。

時間が、
ゆっくり流れる。

やがて。

爆豪が、
手を離した。

「……最後だ」

白井が、
不安そうに見る。

「……何?」

爆豪は、
一歩近づく。

距離が、
一気に詰まる。

「抱きしめる」

はっきりと。

「嫌なら、押しのけろ」

逃げ道を、
ちゃんと残した言葉。
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