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オオカミ少女は愛の夢を見る

第7章 告げる、覚悟


その夜。

白井は、
寮の廊下で心操を見つけた。

「…ねぇ、心操」

「ん?どうした?」

少し迷ってから、
声をかける。

「……ちょっと、
話してもいい?」

「……ああ」

二人は、
人気のないベンチに腰掛けた。

白井は、
昨日と今日の出来事を、
ゆっくりと話す。

「……触られるのが、全部嫌なわけじゃないの。
勝己の時だけ、違って」

言葉にすると、
余計に実感してしまう。

「……変だよね」

心操は、
少し考えてから答えた。

「……変じゃない」

「それだけ、
信頼してるってことだ」

白井は、
小さく首を振る。

「……信頼、だけじゃない気がする」

心操は、
一瞬だけ目を伏せる。

——分かっている。
——でも、言わない。

「……それでいい」

穏やかな声。

「白井は、
ちゃんと前に進んでる」

「自分の気持ちを、
感じ取れてる」

一拍。

「……俺は」

言いかけて、
言葉を止める。

「……応援してる」

それだけ。

余計なことは、
言わない。

自分の気持ちに、
蓋をしたまま。

「……ありがとう」

白井は、
素直にそう言った。

「……心操が、
そばにいてくれたから」

心操は、
小さく笑った。

「……それでいい」

——それが、
自分の役割だと
理解しているように。

部屋へ戻る廊下。

白井は、
一人で歩きながら考える。

——どうして、
——爆豪なら、平気だった?

——どうして、
——あの独占の言葉が、
——嫌じゃなかった?

答えは、
もう見えている。

でも、
まだ口にはできない。

それでも。

——触れられて、
——守られて、
——怒ってくれて。

その全部が、
胸に残っている。

白井は、自分の心が
確かに変わっていることを、
もう否定できなかった。
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