• テキストサイズ

オオカミ少女は愛の夢を見る

第7章 告げる、覚悟


翌日の放課後。
寮の共用スペースは、いつもより静かだった。

白井は、
ソファに腰掛けながら、
昨日の出来事を思い返していた。

——爆豪の手。
——普通科の生徒の手。

同じ“触れる”なのに、
あまりにも違った感覚。

「……」

考えれば考えるほど、
胸の奥がざわつく。

その時。

「……白井」

低い声。

顔を上げると、
爆豪が立っていた。

いつもより、
少しだけ険しい表情。

「……なに?どうしたの?」

「昨日」

短く切り出す。

「普通科のやつに、
絡まれたって聞いた」

白井の心臓が、
跳ねた。

「……誰から?」

「誰でもいいだろ。」

語気が、わずかに強い。

「……触られたのか」
直球だった。

「……うん。ちょっと腕掴まれただけ。」
正直に答えると、
爆豪の眉が、きつく寄る。

「……チッ」

小さな舌打ち。

拳が、
ぎゅっと握られる。

「……嫌だったか」

「……嫌だった」

その一言で、
爆豪の空気が変わった。

「……二度と、
近づかせんな」
低く、抑えた声。

怒鳴らない。
暴れない。

その分、
感情が濃い。

「……勝己」

白井が名前を呼ぶと、
爆豪は一瞬、言葉を詰まらせた。

「……俺が、そばにいりゃよかった」

ぽつりと、
零れる本音。

「……俺以外が、触るな」

はっきりとした、
独占。

言ってから、
自分でも気づいたのか、
爆豪は一歩引く。

「……悪ぃ。言いすぎたわ。」

そう言いながらも、
視線は逸らさない。

白井の胸が、
強く鳴った。

——どうして。

——どうして、
——この人の言葉は、
——怖くないんだろう。

「……嫌じゃ、ない」

思わず、
口をついて出た。

「勝己に、そう言われるのは」

その言葉に、
爆豪の動きが止まる。

「……」

数秒の沈黙。

「……そうか」

それだけ言って、
踵を返す。

「何かあったら、言え。……絶対だ」

その背中は、
どこか不器用で、
必死だった。
/ 231ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp