第7章 告げる、覚悟
白井は、
無意識に爆豪の手元を見る。
力強い手。
文化祭の日に、
引き寄せられた腕。
「……」
胸の奥が、
小さく疼く。
爆豪も、
同じことを考えているのか、
視線が一瞬、
絡む。
「……」
どちらも、
何も言わない。
でも。
距離は、
確実に縮んでいた。
部屋へ戻る前。
廊下で、
爆豪が足を止める。
「……狼薇」
「なに?」
呼び止められて、
振り向く。
「……今日は」
言いかけて、
一瞬、止まる。
「……いや」
「また、話そう」
それだけ。
白井は、
少しだけ驚いたあと、
小さく笑った。
「……うん」
「いつでも」
爆豪は、
それ以上言わずに背を向ける。
その背中を見送りながら、
白井は思った。
——言葉にしなくても、
——分かってしまう距離がある。
それが、
少し怖くて。
でも。
——手放したくない。
そう思ってしまう自分に、
もう嘘はつけなかった。
夜の寮は、
静かだった。
でも、
二人の間には、
確かな熱が残っていた。