第7章 告げる、覚悟
インターンが始まってから、
学校と寮で過ごす時間は、前よりも少なくなった。
それでも——
顔を合わせると、不思議と分かる。
白井は、放課後の教室でノートをまとめながら、
ふと視線を上げた。
窓際の席。
爆豪が、腕を組んで座っている。
話しかけてくるわけでもない。
視線を送ってくるわけでもない。
でも。
——いる。
その存在が、
以前よりもはっきりと意識に残る。
「……」
目が合う。
一瞬。
昨日の朝みたいに、
顔が熱くなる。
慌てて視線を逸らすと、
向こうも何事もなかったように顔を背けた。
——変なの。
でも。
——嫌じゃない。
それが、
一番困る。
夜の寮。
共用スペースは、いつもより静かだった。
各々がインターンの報告書や、
次の授業の準備をしている。
白井は、
ソファに座って資料を読んでいた。
「……ここ、
もう少し詰めた方がいいなかな。」
独り言。
その隣に、
いつの間にか人影が立つ。
「……それ」
低い声。
顔を上げると、
爆豪がいた。
「判断理由、
もう一行足せ」
「……あ、うん」
自然に会話が始まる。
以前なら、
少し身構えていた距離。
今は。
——近いのに、
——落ち着く。
「……最近」
爆豪が、
ぽつりと言う。
「無理してねぇな」
「……うん」
白井は、
素直に頷いた。
「ちゃんと、
戻ってきてる」
その言葉に、
胸が少し温かくなる。
「……勝己は?」
「俺は、
やるだけだ」
ぶっきらぼう。
でも。
「……前より、
余裕ある顔してる」
そう言われて、
爆豪が一瞬だけ黙る。
「……お前もな」
短く返す。
二人の間に、
静かな沈黙が落ちる。
気まずさは、ない。
ただ。
——何かを待っている空気。