第6章 揺れる日常、進む背中
仮免試験会場。
大きな電子掲示板の前に、受験者たちが集まっていた。
画面いっぱいに合格者の名前が出る。
白井は、自分の受験番号と名前をを見つけ——
「……あ」
一瞬、言葉を失う。
そこに、
確かにあった。
合格。
「……白井」
隣で、心操が、
自分の名前を確認している。
「……俺も、あった」
短く、でも確かな声。
二人は、
顔を見合わせ——
「……やったな」
「……うん」
次の瞬間。
拳と拳が、軽くぶつかる。
「お疲れ、心操。」
「お互い、な」
それだけで、
十分だった。
努力が、
ちゃんと形になった。
——ここまで来た。
⸻
帰りのバス。
夕暮れの空が、窓の外を流れていく。
緊張が解けた身体は、
シートに沈み込みそうだった。
「……疲れたな」
「……うん」
白井は、少しだけ笑った。
「でも……
嬉しい」
心操は、
窓の外を見ながら答える。
「合格したって事実より、……やりきれたのがな」
白井は、
その言葉に頷いた。
——逃げなかった。
——制御した。
——一人で抱えなかった。
胸の奥に、
確かな誇りがある。
その時。
運転席近くで、
相澤が静かにスマホを操作していた。
件名:仮免試験 結果
宛先:雄英2年A組
《白井、心操。二人とも合格。
以上》
2人を除くA組への送信。
だが、その一通が——
雄英を動かす。