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オオカミ少女は愛の夢を見る

第6章 揺れる日常、進む背中


仮免試験に向けた特別訓練は、
日を追うごとに厳しさを増していた。

白井は、
額に汗を浮かべながら、
想定市街地の中央に立つ。

「……次は、
声かけから入ろう」

隣にいるのは、心操。

「了解。無理そうなら、すぐ言ってくれ。」

落ち着いた声。
余計な感情を挟まない距離。

「……来てください」

心操の声に合わせ、
白井は周囲を見渡す。

崩落。
逃げ道。
二次被害の可能性。

——焦らない。

昨日までの自分とは、
明らかに違う。

腕を部分的に獣化し、
必要な力だけを使う。

瓦礫を持ち上げ、
人を守る。

「……よし」

相澤の合図で、訓練は一旦終了。

「安定してきたな」

短い評価。

白井は、
小さく息を吐いて笑った。

——できてる。
——前より、ちゃんと。



少し離れた場所。

腕を組んで、
その様子を見ていたのは
爆豪だった。

——動きも、いい。

——判断も、落ち着いてる。

正直、
誇らしかった。

「……」

なのに。

心操が白井に何か声をかけ、
二人で改善点を確認し始めた瞬間。

胸の奥が、
ざわっとする。

——近ぇ。
——話す距離。
——息、合いすぎだろ。

「……チッ」

無意識に、舌打ちが漏れる。

分かっている。

心操は、
信頼できる仲間だ。
白井を支えている。

それでも。

——俺のだ。

そんな感情が、
勝手に浮かぶ。

「……クソ」

拳を握る。

——違う。

——今は、待つって決めた。
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