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オオカミ少女は愛の夢を見る

第6章 揺れる日常、進む背中


文化祭の片付けが終わり、
校内は少しずつ静けさを取り戻していた。

提灯の灯りだけが、
夜の道を淡く照らしている。

白井と爆豪は、
寮へ続く道を並んで歩いていた。

手は、繋いだまま。

「……楽しかった、、か?」

爆豪が、ぽつりと言う。

「……うん」

白井は、
少しだけ視線を落としたまま答える。

人混みは、もうない。
危険も、ない。

それでも、
爆豪は手を離さなかった。

「……勝己」

「ん」

「もう、
離れても大丈夫だよ」

その言葉に、
爆豪の歩みが一瞬止まる。

「……分かってる」

そう言いながら、
手に込める力が、わずかに強くなる。

「でも」

低い声。

「俺が、
離したくねぇ」

言い訳も、
照れ隠しもない。

白井は、
驚いたように目を瞬かせたあと、
小さく息を吐いた。

「……そっか」

それ以上、
何も言わない。

拒まれなかったことが、
爆豪の胸を少しだけ満たす。

寮の前に着く。

「……今日は、ありがと」
白井が言う。
「楽しかった」
少し微笑んで続けた。

「……おう」
爆豪も短く返す。

でも、
すぐに手を離さない。


「……おやすみ、勝己」

「……おやすみ」

名残惜しそうに、
ようやく指が離れる。

白井は、
振り返って寮に入っていく。

その背中を、
爆豪はしばらく見つめていた。

——持ってかれた。

完全に。
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