第6章 揺れる日常、進む背中
文化祭の喧騒は、
午後に入ってさらに熱を帯びていた。
屋台の呼び声。
笑い声。
行き交う人の流れ。
白井は、爆豪の隣を歩きながら、
人の多さに少しだけ身構えていた。
「……人、多いね」
「今さらだろ」
そう言いながら、
爆豪の視線は常に周囲を捉えている。
——訓練の時と同じ目。
周りを気にして、気遣ってくれている。
次の瞬間だった。
人の波が一気に押し寄せ、
肩がぶつかる。
「……っ」
体が流れそうになった瞬間、
爆豪が白井の手首を掴んだ。
「離れんな」
短く、低い声。
驚いて見上げるより早く、
爆豪はそのまま——
腕を引いた。
強引だけど、
乱暴じゃない。
一歩、
二歩。
そして、
人の流れから外れた場所で。
ぐっと、抱き寄せられる。
爆豪の胸に、白井の顔が埋まる。
爆豪の腕が、しっかりと背中を囲む。
一瞬で爆豪の熱を白井が感じ取った。
「……!」
言葉が、出ない。
「人混み、
引くまでだ」
耳元で、
低く囁かれる。
「……っ!///」
白井の耳は爆豪の低く囁く声に熱を帯びた。
言い訳みたいな言葉。
でも、爆豪の腕は離す気がない力がこもっていた。