第6章 揺れる日常、進む背中
昼過ぎ。
ピークを越え、
来場者の流れが一段落する。
A組のあちこちに、
安堵と達成感が漂っていた。
「狼薇」
爆豪が、
人の少ない通路へと呼ぶ。
「……なに?」
「この後」
少しだけ、言葉を探す。
「……文化祭、
一緒に回らねぇか」
白井は、
一瞬だけ目を瞬かせた。
「……どうして?」
素直な問い。
爆豪は、
視線を逸らす。
「回る相手がいねぇからだわ。」
首の後ろをかきながらぶっきらぼうな返事。
でも。
——耳が、赤い。
白井は、
その変化を見逃さなかった。
「……そう」
少しだけ、
微笑む。
「じゃあ、
一緒に回ろう」
爆豪は、
一瞬だけ固まり——
「……おう」
短く答えた。
照れを隠すために、
歩き出すのが早い。
白井は、
その背中を追いながら思う。
——成功した文化祭。
——そして、次の時間。
この高揚の中で始まるのは、
きっと少し甘い、
二人だけの時間だ。
祭りの喧騒は、
まだ続いている。
その中で、
二人の距離は、
確かに“特別”へ向かっていた。