第6章 揺れる日常、進む背中
文化祭当日。
雄英高校の校内は、朝から人の波で溢れていた。
「A組の体験型アトラクション、こちらでーす!」
芦戸の明るい声が、
呼び込みの中心になる。
動線はスムーズ。
安全マットは想定通り。
サポート役は、来場者の年齢に合わせて配置されている。
白井は、誘導ロープの横で周囲を確認しながら、
不安そうな子どもに目線を合わせるため、腰を落として手を繋ぐ。
「大丈夫。転びそうになったら、
すぐそばにいるからね」
優しく微笑んだ。
その一言で、
子どもは小さく頷き、手を握り返してくれた。
——守れている。
その実感が、
胸の奥にじんわりと広がった。
「いいペースだ」
近くで声がする。
爆豪は、
サポート位置で周囲を見張っていた。
来場者が躓きそうになると、
一歩前に出る。
必要以上に触れない。
でも、確実に支える。
二人の連携は、
訓練の延長線のように自然だった。
「ありがとう、ヒーロー!」
来場者の声に、A組全体が笑顔になる。
「大成功じゃん、これ!」
上鳴が親指を立てる。
「安全面も問題なしですわ!」
八百万が確認を終えた。
少し離れた場所で、
相澤が腕を組む。
「……上出来だな」
それだけで、
十分な評価だった。