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オオカミ少女は愛の夢を見る

第6章 揺れる日常、進む背中


白井は立ち止まる。

「……勝己」

名前を呼んで、
一歩、近づく。

そして。

そっと、爆豪の袖を掴んだ。

ほんのわずか。
指先が触れる程度。

爆豪の身体が、
一瞬だけ強張る。

「……?」

白井は、
視線を上げて言った。

「ありがとう」

「そばに、
いてくれて」

離さない。
でも、力は込めない。

——触れる、という選択。

爆豪は、
ゆっくり息を吐いた。

「……今さらだ」

そう言って、
袖を掴む手を振り払わない。

「ここまで来て、
離れるわけねぇだろ」

視線が合う。

近い。
でも、急がない。

「……明日」
白井が言う。

「一緒に、
守ろう」

「当たり前だ」

短く、即答。

二人は、
並んで夜の校内を歩き出す。

触れた指先の感触は、
まだ残っている。

それは、
迷いじゃない。

選んだ距離だった。

文化祭は、もうすぐ始まる。
そしてこの関係も、
次の段階へ進もうとしていた。
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