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オオカミ少女は愛の夢を見る

第6章 揺れる日常、進む背中


文化祭準備も中盤に差しかかり、
体育館裏の作業場はすっかり“A組の現場”になっていた。

床には養生テープ、
壁には動線図、
あちこちに積まれた安全マット。

「よし、この位置で最終確認しよ〜!」
芦戸の声が飛ぶ。

白井は、チェックリストを片手に、
設置済みのコースを見渡していた。

「……ここ、もう少し余白欲しい」

「了解」
即座に返る声。

爆豪は、無言でマットを数十センチずらす。

「これで、子どもが走っても詰まらねぇ」

「……うん、ありがとう」
自然なやり取り。
指示でも、命令でもない。

ただ、一緒に考えている。

それを見て、
少し離れた場所で
麗日お茶子が小声で言った。

「……ねえ」

「最近、あの二人、なんか言い表せないけど、そうゆうことなん??」

「確かに。そうですわよね。」
八百万がうんうんと頷く。
「設計と実作業が、ほとんどズレていませんわ」

「前から仲悪かったわけじゃないけどさ〜」
三奈が腕を組む。
「今は、“並んでる”感じがする」

誰も、恋だとは言わない。

でも、
違和感はもうない。



作業の合間。

白井は、少しだけ壁にもたれて息を整えていた。

——特別訓練、
——今日もあった。

正直、楽じゃない。
体も、頭も使う。

「……無理してねぇか」

爆豪が、水のボトルを差し出す。

「……してない」

白井は受け取って答えた。

「昨日のアドバイス、効いてる。判断、前より落ち着いた」

爆豪は、
鼻で息を吐く。

「ならいい」

それだけ。

でも、
その一言があるから。

——今日も、
——文化祭準備に立てる。

白井は、
そう感じていた。
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