第6章 揺れる日常、進む背中
「次」
相澤が、視線を二人に向ける。
「白井、心操」
一瞬、教室の空気が変わる。
「……はい」
白井と心操が、同時に返事をする。
「お前たちは、文化祭の準備を進めるとと同時に、仮免試験を受けてもらう。」
教室が、静まった。
「補講や推薦の結果を踏まえ、お前たちの受験資格が認められた」
心操の表情が、わずかに引き締まる。
白井も、背筋を伸ばした。
「日程と詳細は、後で個別に伝える」
それだけ。
評価も、期待も、
口にはしない。
——でも、
**“認められた”**という事実だけが残る。
⸻
休み時間。
「白井、心操」
相澤が二人を呼び止める。
教室の外、
静かな廊下。
「文化祭の準備と、仮免試験が重なる。両立は、簡単じゃない、
だが、それでも受かれ。」
視線が、二人を捉える。
「ヒーローはそれをやる」
白井は、はっきり頷いた。
「……はい」
心操も、短く答える。
「……やります」
相澤は、それ以上言わない。
「戻れ」
背中を向ける。
——任せた、という合図。
⸻
教室へ戻る途中。
「……来たな」
心操が、ぽつりと言う。
「……うん」
白井は、息を吐く。
「文化祭も、仮免も…忙しくなるね。でも、」
心操が、横を見る。
「ここで逃げたらヒーローじゃねぇ。よな。」
心操が笑い、白井は、それに応えた。
「……一緒だね」
その言葉に、
心操は小さく頷く。
⸻
教室の中では、
文化祭の話題で盛り上がっている。
爆豪は、席に座ったまま、
二人の様子を見ていた。
——仮免。
——一段、前に進む。
胸の奥が、静かに熱を帯びる。
「……」
何も言わない。
でも、
目は逸らさない。
——進め。
——でも、戻る場所はある。
そう、
無言で示すように。
⸻
新学期は始まった。
笑顔が並ぶ文化祭と、
覚悟が試される仮免試験。
二つの舞台が、
同時に動き出す。
守る日常と、進む覚悟を並べながら、
さらに先へ進んでいく。