第6章 揺れる日常、進む背中
新学期初日の朝。
雄英高校の校舎は、久しぶりの賑わいに包まれていた。
「やっぱ学校始まると一気に戻る感じするよね〜」
芦戸三奈が、廊下を歩きながら伸びをする。
「夏休み、あっという間やったねぇ〜」
麗日お茶子が笑う。
白井は、教室の窓際でその様子を眺めていた。
懐かしい騒がしさ。
——戻ってきた、という感覚。
「……よぉ。」
低い声。
振り向くと、
爆豪が、いつものように席に荷物を置く。
「……おはよう」
短い挨拶。
でも、以前より自然だった。
爆豪は、それ以上何も言わず前を向く。
——ここにいる。
それだけで、十分伝わる距離。
⸻
チャイムが鳴り、
担任の
相澤が教室に入ってくる。
「席につけ」
一瞬で、空気が締まる。
「新学期だ。
まずは連絡事項から」
淡々と、でも重要な声。
「今年の雄英文化祭は、
予定通り開催する」
教室が、ざわっと沸く。
「文化祭!?」
「きたーーー!」「がっぽーーーい!」
相澤は、騒ぎを一瞥して続ける。
「ヒーロー科2年A組も参加する。
内容に関しては、今回もクラス委員を中心に企画を出せ」
「準備期間は限られている。
遊びじゃない。今年も手を抜くなよ。」
——雄英の文化祭。
“守る日常”を象徴する行事。
白井は、
その言葉を胸の奥で反芻した。