第1章 出会い
リヴァイは低く呟き、急に方向を変えた。
普通の兵士ならバランスを崩す角度。
ユキノは遅れず追従し、むしろリヴァイの盲点を突くように
少し内側から回り込んだ。リヴァイの眉がわずかに動いた。
「生意気な……!」
彼は速度を上げ、枝の密集地帯へ突入した。霧が視界を悪くする中、連続したアンカー射出でジグザグに進む。ガス消費を計算しつつ、相手を振り落とすためのトリッキーなルートを選ぶ。ユキノの呼吸が少し乱れ始めたが、彼女は諦めない。リヴァイの背中が近づき、彼女は思わず声を上げた。
「すごい……でも、私も負けません!」
リヴァイは振り返らず、冷たく吐き捨てた。
「おしゃべりしてる暇があったら、集中しろ」
対決は激しさを増した。リヴァイが上空へ急上昇し、頂点でフリーフォールのように落下しながらアンカーを射出。ユキノはそれを予測し、同じ軌道で追う。二人の影が霧の中で交錯し、周囲の兵士たちは息を飲んで見守った。イザベルが興奮して叫ぶ声が遠くから聞こえる。
「リヴァイ兄貴、がんばれー! あの子もすごいけど!」
ファーランは腕を組み、冷静に分析していた。
「あの二人、互角だな……リヴァイのプライドが傷つきそうだ」
ついに、リヴァイが仕掛けた。巨木の頂上で急停止し、ユキノの接近を待つ。彼女が近づいた瞬間、横からアンカーを射出して彼女の軌道を妨害するような旋回。ユキノは咄嗟に回避し、バランスを崩しかけたが、枝に足をかけ直して立て直した。ガスがわずかに漏れる音が響く。
「……くそっ、しぶといヤツだ。」
リヴァイの声に、苛立ちと同時に敬意が混じっていた。対決は30分近く続き、二人はようやく地面に着地した。息が荒く、汗が額を伝う。ユキノのガスが先に切れかけたが、互いに一歩も譲らずの引き分けのような形だ。
ユキノは息を整え、笑みを浮かべてリヴァイを見た。
「楽しかったです。ありがとうございます。あなたの動き、本当に勉強になりました。」
リヴァイは彼女を睨み、短く言った。
「……お前、意外とやるな」
そう言いながら、彼は背を向けたが、心の中ではこの少女を本物のライバルとして認め始めていた。地下街の闇と壁内の光が、初めて交わる瞬間だった。