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翼の約束

第8章 壁外からの帰還


ハンジは、すべてを見ていた。

リヴァイが、二人の一部を回収しようとした時、
ユキノちゃんが、馬を降りて、駆け寄って、
リヴァイの腕を掴んだ。

「もう……無理です。生きて帰りましょう」

ユキノちゃんの声は、震えていた。
涙をこらえながら、でも、はっきりと言った。

リヴァイは、一瞬、ユキノちゃんを睨んだ。
殺すような目で。

でも、結局――
ユキノちゃんの手を、振り払わなかった。

二人は、並んで馬に乗り、
残った馬を引いて
撤退した。

ハンジは、今、医務室の外で、
壁に寄りかかっている。

中では、ユキノちゃんが負傷兵の治療を続けている。声が、かすかに聞こえる。

穏やかで、優しくて、でも、どこか壊れそうで。

リヴァイは、どこかに消えた。
一人で、刃を磨いているんだろう。

(……ごめんね)

ハンジは、眼鏡を外して、袖で目を拭った。

馬舎で、あんなに楽しそうに見守っていたのに。

四人が揃って、壁外で輝く姿を見たのに。

イザベルちゃんとファーランくんを、
守れなかった。

(でも……)

ハンジは、もう一度眼鏡をかけた。

ユキノちゃんが、リヴァイを引き戻した。

あの瞬間、二人は、初めて――
本当に、背中を預け合った。

リヴァイが、ユキノちゃんを失うことを、
絶対に許さなかった。

ユキノちゃんが、リヴァイの絶望を、
一人にさせなかった。

(二人は……これから、もっと強くなる)

イザベルちゃんとファーランくんの分まで。

ハンジは、静かに息を吐いた。

(私は……もっと、みんなを支えなきゃ)

巨人研究も、仲間たちのため。

次は、絶対に――
誰も失わない。

ハンジは、医務室の扉を見つめ、
小さく、でも力強く呟いた。

「ユキノちゃん……リヴァイ……
 ありがとう。そして、ごめんね」

そして、にやりと笑った。

(次は、もっと面白いこと、見せてあげるよ)

涙を拭い、
ハンジは立ち上がった。

壁外調査は、終わった。

でも、彼らの物語は――
まだ、始まったばかりだ。

ハンジ・ゾエは、
仲間たちの未来を、
信じて、歩き出した。

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