第8章 壁外からの帰還
イザベルちゃんは、笑顔のままだった。
最後の最後まで、異常者の注意を引き、
仲間を逃がすために機動を繰り返して、
でも、笑っていた。
(あの子……ほんとに、太陽だったね)
ファーランくんも、最後まで冷静だった。
リヴァイくんの突撃を支え、
班の撤退ルートを確保して、
イザベルちゃんの背中を守ろうとして――。
ハンジは、唇を噛んだ。
二人が、巨人に捕られた瞬間を、
何度も、何度も思い出す。
ユキノちゃんが、叫んだ。
「イザベルちゃん!! ファーランさん!!」
あの声は、今でも耳に残っている。
ユキノちゃんは、馬を飛ばし、立体機動で二人の元へ向かおうとした。 医官見習いの立場を忘れて、ただ仲間を助けようとして。
でも、リヴァイが――
ユキノちゃんの馬を、強引に引き戻した。
「戻れ!!」
あの時のリヴァイの声は、
怒りでもなく、悲しみでもなく、
ただ、絶望に近かった。