第7章 壁外調査
【ハンジの視点】
ハンジ・ゾエは、馬を駆りながら、眼鏡の奥の瞳をぎらぎらさせていた。
風が髪を乱暴に撫で、巨人の蒸発臭が鼻を突く。
壁外の草原は広すぎて、遠くの異常者(巨人)が豆粒のように見えるのに、
それでも心臓が鳴り止まない。
(きたきたきたきた!! ほんとに来たよ!! 壁の外だよ!!)
興奮で、声が漏れそうになるのを必死に抑える。
エルヴィン班の後方支援位置――医官見習いのユキノちゃんと一緒に、負傷者回収と巨人観察を担当している。
でも、ハンジの目は、いつも前方に釘付けだ。
リヴァイが、飛んでいる。
立体機動で、まるで重力を忘れたように。
馬を走らせながら、木々を蹴り、異常者の群れに単身で突っ込んでいく。
刃が閃くたび、うなじが正確に斬られ、巨体が崩れ落ちる。
(すごい……すごいすごいすごい!!
あれが本気のリヴァイか!!)
地下街の噂以上だ。
馬舎で少し柔らかくなったと思っていた表情が、今は完全に獣。
冷たく、鋭く、容赦ない。
でも、ハンジは知っている。
あの刃の奥に、守りたいものがあることを。