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翼の約束

第6章 壁外調査前夜



夜は深く、壁の上は静まり返っていた。
明日、初めての本格的な壁外調査――
エルヴィン班のメンバーとして、リヴァイ、イザベル、ファーラン、ユキノの四人も参加する。

誰もが、眠れぬ夜を過ごしていた。

【リヴァイの部屋】

リヴァイはベッドに腰掛け、刃の手入れを繰り返していた。
月明かりが、磨き上げられた刃に冷たく反射する。

(……明日だ)

胸の奥が、ざわついている。

壁外――
巨人がうごめく世界。
地下街の闇より、はるかに残酷な場所。

そこで、自分たちの強さを証明する。
イザベルとファーランを守る。
そして、ユキノを――。

その名を思うだけで、胸が熱くなる。

馬舎での日々が、走馬灯のように蘇る。

ユキノの穏やかな声。
「力を抜いて」「信頼してあげて」。

あいつの手が腰に触れた感触。
ガストが自分を乗せてくれた温もり。

(あいつは……後方で、命を繋ぐつもりだ)

医官として。
戦うのではなく、治すために。

それが、どれだけ危ういか。

壁外では、誰も「後方」にいられない。
巨人は、容赦なく襲ってくる。

(お前を……守れるか)

自分の刃で、すべてを切り裂けるか。

ユキノの優しさが、
自分の中の何かを、確実に変えてしまった。

強さだけじゃ、足りないものを、教えてしまった。

(クソ……俺は、まだあいつに負けたくねぇ)

なのに、
あいつの笑顔を、失いたくない。

リヴァイは刃を鞘に収め、窓辺に立った。

月が、冷たく輝いている。

(明日……生きて帰る)

全員で。

その決意だけを、胸に刻んで。
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