第5章 近づく距離
朝の空気が少し湿り気を帯び、馬舎の中は干草と馬の匂いが混じって心地よい。
ユキノ・ベリスタは、いつものようにエプロンをかけ、三人の前に立っていた。
リヴァイ、イザベル、ファーラン――
地下街から来た三人が、並んで馬の手入れを終えたところだった。
イザベルは自分の馬ルナのたてがみを編み上げながら、
ファーランはレオンの鞍を丁寧に磨き、
リヴァイはガストの蹄を無言で確認している。
三人の動きは、もう完全に兵士のものだった。
馬の気分を読み、手綱の微調整をし、鞍上での重心移動も完璧。
壁外調査で長距離を走るための持久力も、すでに備わっている。
ユキノは静かに息を吸い、三人の背中に声をかけた。
「リヴァイさん、イザベルちゃん、ファーランさん」
三人が同時に振り返る。
イザベルが「なにー?」と明るく、
ファーランが「どうした?」と
リヴァイが無言で視線だけを向ける。