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翼の約束

第5章 近づく距離


そして、リヴァイさんにも――
少しでも、何かを与えられたら。

(私にできるのは、ただ優しく教えることだけ)

力じゃない。
信頼で。
急がず、待って、褒めて。

母が自分にしてくれたように。

リヴァイさんが、少しでもその温かさに触れて、
胸の奥の氷が、ほんの少しでも溶けたら。

(リヴァイさん……あなたは、すごく強い)

でも、同時に、すごく脆そう。

地下街の闇を、一人で背負い続けてきた人。

だからこそ、ユキノは決意した。

馬術を教えるこれからの日々で、
リヴァイさんに、ただの上達じゃなく、
何か別のものを、届けたい。

信頼できる仲間がいること。
誰かに教わることの、怖くないこと。
優しさが、弱さじゃないこと。

ユキノはガストに小さく囁いた。

「明日も、リヴァイさんが来てくれるかな」

馬が鼻を鳴らして、優しく応えた。

ユキノは微笑み、朝の陽光を浴びて立ち上がった。

胸の奥で、静かな、でも強い想いが灯っていた。

(リヴァイさん、私も負けません)

立体機動で、治療で、そして――
仲間を支える強さで。

いつか壁外で、背中を預け合える日まで。

ユキノ・ベリスタは、母の形見を揺らしながら、
静かに、しかし確実に、前を向いた。

リヴァイの葛藤を知らずに、
ただ、彼の背中を、優しく見守り続けるために。
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