第5章 近づく距離
そして今、リヴァイが――
人類最強と呼ばれる男が、
その教えを受け入れている。
(お前も、感じてるんだろうな)
ユキノの温かさを。
信頼で動かすものを。
力じゃなく、心で繋ぐものを。
地下街じゃ、そんなものは弱さでしかなかった。
だが壁の上では、それが仲間を強くする。
リヴァイはそれを、苛立って、葛藤して、
それでも受け入れ始めている。
ファーランは静かに息を吐いた。
(リヴァイ、お前が変われば、俺たちももっと上に行ける)
壁外調査で、三人が揃って立つ日。
リヴァイの刃が最前線を切り開き、
ユキノが後方で命を繋ぎ、
イザベルが笑いながら駆け、
自分が策を練る。
その未来が、少しずつ形になってきている。
(ユキノ・ベリスタ……
お前は、俺たちの世界を、確実に変えてる)
ファーランは立ち上がり、馬舎に近づいた。
リヴァイがレッスンを終え、ユキノと短く言葉を交わしている。
その背中は、いつもより少しだけ――
軽やかだった。
ファーランは小さく笑った。
(これで、俺たち全員が壁外に立てる)
地下街の三人と、壁育ちの少女。
不思議な組み合わせだけど、
もう、離れられない。
イザベルが駆け寄ってきて、ファーランの袖を引っ張った。
「ねえ! 兄貴、かっこよかったよね!」
「ああ……な」
二人は並んで、リヴァイとユキノの姿を見続けた。
朝の光が、馬舎を優しく照らしていた。
これからの日々が、少しずつ、
明るくなっていく予感がした。