第5章 近づく距離
【イザベルの視点】
イザベルは馬舎の柵に肘をつき、目を輝かせてリヴァイの姿を見つめていた。
(リヴァイ兄貴が……馬に乗ってる!!)
朝早くから来てしまったのは、ユキノお姉さんに「今日は兄貴も来るよ」って聞いたから。
絶対に見逃したくなかった。
リヴァイ兄貴はいつも、誰よりも強くて、誰よりも速くて、誰よりもかっこいい。
地下街の頃から、私たちを守ってくれて、どんなに怖い時も背中を預けられた。
でも――。
今日の兄貴は、ちょっと違った。
ユキノお姉さんが横を歩きながら静かに声をかけると、兄貴は無言で手綱を握って、馬の動きに合わせて身体を揺らしてる。
最初は少し固そうだったけど、すぐにバランスを取って、すごく自然に。
(兄貴、すぐ慣れちゃうんだ……さすがだよ)
でも、それ以上にイザベルが胸を熱くしたのは、
兄貴がユキノお姉さんの言葉をちゃんと聞いてるってこと。
地下街じゃ、兄貴は誰の言うことも聞かなかった。
私やファーランの意見だって、たまにしか取り入れてくれなかった。
強さだけで全部決めて、全部守ってくれた。