第5章 近づく距離
地下街の狼は、初めて、
自分の牙の先に、別の光を見た。
それは、まだ認めたくない光。
だが、いつか――
その光を、受け入れる日が来るのかもしれない。
今はただ、
胸の奥の嵐を、誰にも見せずに耐えながら、
リヴァイは静かに馬舎を後にした。
掌に残る馬の温もりが、
妙に、離れなかった。
だが、同時に――
やめられない。
イザベルの笑顔のため。
ファーランの穏やかな表情のため。
そして、自分自身が、壁外で三人と一緒に立つため。
(俺は……変わらなきゃならねぇのか)
その考えが、怖い。
変わるということは、
これまでの生き方を、否定することになる。
地下街のリヴァイを、殺すことになる。
強さだけで生きてきた自分を、捨てることになる。
(……いやだ)
まだ、いやだ。
あいつのようには、なれない。
優しくなんて、なれない。
地下街の狼は、初めて、
自分の牙の先に、別の光を見た。
それは、まだ認めたくない光。
だが、いつか――
その光を、受け入れる日が来るのかもしれない。
今はただ、
胸の奥の嵐を、誰にも見せずに耐えながら、
リヴァイは静かに馬舎を後にした。
掌に残る馬の温もりが、
妙に、離れなかった。