第5章 近づく距離
食堂の片隅で、イザベルとファーランがリヴァイの前に座っていた。
二人とも頰が少し上気していて、明らかに興奮している。
イザベルが先に勢い込んで言った。
「リヴァイ兄貴! 今日もユキノお姉さんに馬術教えてもらったんだけど、ほんっとにすごいよ!
私、もう一人で歩かせたり軽く走らせたりできるようになったんだ!
兄貴も早く教わってよ! 一緒に壁外行けるようになったら、俺たちの力見せつけようよ!!
立体機動も馬も完璧にして、巨人なんか一気にぶった斬っちゃおう!」
イザベルは拳を握りしめて、目をキラキラさせている。地下街では決して見せなかった、未来を純粋に楽しみにしている表情だ。
ファーランが、静かに、しかしはっきりと続けた。
「リヴァイ、あの人は教え方が上手い。馬の気持ちを読みながら、こっちのペースに合わせてくれる。俺みたいな策ばっか考えてる奴でも、すぐに慣れた。……お前が教わったら、すぐ追いつくだろうな」
ファーランの言葉には、いつもの皮肉やからかいがない。
ただの、素直な評価だった。
リヴァイはスプーンを置いて、無言で二人を見た。
胸の奥が、またざわつく。
イザベルがあんなに楽しそうに未来を語っている。
ファーランが、あんなにストレートにユキノを認めている。
(……俺たちの力、か)