第4章 黒の世界を選びました。
「私は、ちゃんと生きてた頃みたいに、働いて、悩んで、でも誰かと関わっていたい。それが、私にとっての“リアル”だから」
アゼルは少し驚いたように私を見つめたが、すぐに頷いた。
「……わかった。歓迎するよ。黒の世界へ」
セロスはしばらく沈黙した後、ため息をついた。
「……営業成績、また下がるわ。ほんま、やってられへん」
「本音漏れてますよ、セロスさん」
私がそう言うと、セロスは肩をすくめて笑った。
「仁菜さん、あなたみたいな人は、白の世界には向いてないかもしれませんね。……でも、黒の世界で後悔しても、戻ってこれませんよ?」
「白の世界に行った方が後悔すると思います。セロスさんには悪いけど」
微笑んで私が言うと、私の言葉に、アゼルが小さく笑った。
「……じゃあ、案内する。地獄の入口は、意外と風通しがいいぞ」
私はその言葉に、ふっと笑いながら、彼の隣に並んだ。
白と黒の境界線を越えて、私は“選んだ”世界へと歩き出した。