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天国スカウト断って、地獄で改革始めます!

第2章 まずは掃除から始めましょう


廊下の向こうからセロスの声が響く。

「なんでや! なんで掃除でラブコメみたいな展開になっとんねん! ワイの白の世界ではそんなイベント起きへんぞ!」

「ラブコメって、そんなんじゃないわよ! 事故よ! ハプニング!!
てか、あんたまた来たの!? 『白の世界』でラベンダーアロマに癒されてなさいよ!」

私は顔を赤くしながら、再び書類の山に向き直った。

アゼルは、

「……茶、入れ直してくる」

とだけ言い、盆を抱えて給湯室へ消えていった。
気のせいか、給湯室へ向かう彼の耳が赤かった気がした。

給湯室から戻ったアゼルは、人数分のお茶の入った盆を片手に、器用に何かを一緒に持ってきた。

「……これ、使え」

アゼルがお茶と一緒に差し出したのは、救急箱だった。

「ありがと。少し、休憩入れましょうか。わたし、足の様子確認したいし」

今度は私が給湯室へ向かった。

濡れた靴と靴下を脱ぎ、つま先を確認する。

「あちゃー、少し赤くなってる。まあ、熱湯がかかったんだから当然か」

私は不格好ながら、足を給湯室のシンクに突き出して、しばらく流水で冷やした。

「大丈夫か?」

不意に給湯室に現れたアゼル。
私は足を冷やすためにマキシワンピースを太ももまでたくし上げていた。
私の足と太ももに、自然とアゼルの視線が走る。
やがて彼は慌てて後ろを向き、顔を真っ赤にして、無言で給湯室を去っていった。

「何、あんなに慌ててるんだろ?」

程よく足先が冷えたところで、近くにあったタオルで足を拭き、救急箱から『冷えピタ』を取り出す。
応急処置としてつま先に貼り、ズレないように包帯で固定。
まだ湿っている靴下を履き直し、靴を履いた。

そして給湯室を見回してみた。

「ここも掃除しなきゃ……」

水垢が溜まり、タオルや雑巾もいつ洗濯されたのか分からない。
漂白剤の気配もない。

「なんか、排水溝からヤバげな匂いもするし……」

汚ければ汚いほど、俄然燃えてくる。

『徹底的に綺麗にしてやろう』

という思いが込み上がる!

「よーし! 続き、頑張るぞー!」

手当を終えた私は、見えない強敵——
“混沌とした黒の世界庁舎”の汚れと雑然とした書類の山を今日中に片付ける決意を胸に、給湯室を出て、“戦場”となるアゼルの執務室へ再び向かった。
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